本学文中国体彩网の大島明秀教授は、昨年12月に長崎の天才蘭学者志筑忠雄の生涯をまとめた初めての研究書となる『人物叢書 志筑忠雄』(吉川弘文館)を刊行したことを記念し、「孤独なる革命―天才蘭学者?志筑忠雄の生涯と仕事―」と題した出版記念講演会を開催しました。参加者は101名で、高校生や大学生をはじめ多くの方々にご参加いただきました。
講演では、江戸時代の国際関係や当時の人々の発想を押さえながら、「蘭学」がどのような学問であるかに始まり、志筑忠雄が脱亜入欧の中で「西洋の天才科学者と並ぶ天才」として発見されたことを踏まえ、オランダ通詞辞職年の塗り替え、辞職理由、実家中野家の家系と経営戦略、実家の立地と間取り、実家の長崎社会での位置づけ、志筑忠雄が再仕官を願望していたことなど数々の真事実を究明したことが説明されました。
ついで、話題は志筑忠雄の学問に移り、①天文?物理学上の仕事、②地理?物産についての業績、③オランダ語学、④海外情勢書、について、その革新性が解説されました。
最後は、これら①~③が同時代の水準を遥かに超える革命的な仕事であったため、ほぼ理解されず、あまり後世に伝わらなかったこと、④も同様で、ただ一つ爆発的に伝わった『鎖国論』は趣旨が誤解されて伝わったこと、結果、その存在が歴史の中に忘却されたことなどが説かれました。そして、志筑忠雄の死没から218年6ヶ月を経た2024年12月、『人物叢書 志筑忠雄』の上梓によって、初めてその全貌が明らかとなったことが話されました。




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